新卒社員が初ボーナスで仮想通貨じゃなく金(きん)を購入した理由 | ライフハッカー[日本版]

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July 30, 2024, 8:58 pm

金価格が高騰している。28日、取引価格(田中貴金属・税込小売価格)は1グラムあたり5, 682円と今年最高値を更新。29日も同価格で推移した。米中貿易摩擦など世界経済の悪化懸念から、「有事に強い」とされる金が値上がりした形だ。現状、高値圏を推移しているが、持っていない人は、今からでも自身のポートフォリオに組み込むべきであろうか。検証する。 「金価格」はさらに値上がりするのだろうか? 現状を見てもわかるように、金価格は世界的な経済不安をきっかけに上昇する傾向がある。そのような不況下では、同時に株式などの価格は下落するため、一種のリスクヘッジとして、自身のポートフォリオに5〜10%ほど組み込んでおくといいという考え方もある。 では、持っていないならば、高値圏の今でも、金を購入したほうがいいのか? 冒頭にも述べたように、現状価格は今年の最高値を更新し続けている高値圏であり、過去5年で見ても最も高い。 もちろん、さらに上がる可能性もあるが、ここで所有する資産の一部を、一括で「金」に変えると高値掴みしてしまうリスクはある。合意なきブレグジット(英国のEU離脱)など、世界経済はまだまだ爆弾を抱えているので、さらに上昇すると踏んで購入するという選択肢もあるが、それはトレーダーの視点であり、資産形成のためにポートフォリオにどのくらい組み込むべきか?という堅実性を求めるときの考え方とは言い難い。 消費増税前に購入するとメリットがある? 消費増税によるメリットを考えてみるのはどうだろうか。金の売買には消費税がかかるという特徴がある。現在、消費税は8%であるが、10月より10%となることが決まっている。 購入する際に8%の消費税を支払うが、売却するときには10%の消費税が支払われることとなり、ほとんどの人にとって、この差分は益税となるであろう。 そういう意味では、ある程度のメリットが予測されるため、買い時といえば買い時であるわけだが、現在の価格が過去と比較してかなりの高値圏であることを考えると、この程度の割合では、損をするリスクももちろんある。 高値圏から積立投資を初めても大丈夫なのか?

Image: SARIN KUNTHONG/shutterstock 石橋 :今後、金が新たに採掘されなくなることってあり得るんですか? 池水 :うん、ありえるね。そもそも、今年間で3000トンぐらい金が世界中で掘られてるんだけど、 2015年、16年がピーク だって言われてるんだよ。それからちょっとずつ減っていくと言われていて、それはもうほぼ確定してる。 なぜかというと、金鉱を見つけてから実際の金が生産できるようになるまで、だいたい 20年かかる って言われてるのね。だから、今掘られてる金というのは、だいたい 20年前に発見されたもの になるわけ。1995年に金鉱の発見がピークを打って、以降は新しい金鉱脈はどんどん減ってきてるから、2015年以降くらいから生産量が減っていくことは確実。 石橋 :じゃあ、金はいつかなくなってしまうんですか?

池水 :2000年代前半までは、ドル建て(ドル/金1トロイオンス=31. 1035g)で 300ドル〜400ドル ぐらいだった。今が 1300ドル くらいだから、今の4分の1ぐらいの価値だね。 年 最高(ドル/トロイオンス) 最低(ドル/トロイオンス) 平均(ドル/トロイオンス) 2017 1, 350. 90 1, 173. 05 1, 258. 25 2012 1, 791. 75 1, 537. 50 1, 668. 86 2007 841. 75 608. 30 695. 91 2002 349. 30 277. 75 309. 88 金価格推移( 田中貴金属工業株式会社サイト より) 池水 :じゃあなんでそんなに上がってきたかっていうと、一言で言うのはなかなか難しいけど、 911のような地政学的リスク や、 リーマンショックのような世界的な経済の波乱 がいろいろと起こるようになった、というのが大きな理由。 投資家たちの不安が募って、やっぱり株や債権だけじゃダメだと、いわゆる株とか債権以外の 「オルタナティブ・インベストメント」 にお金がどんどん向かい出したのが、そのころから。それまではゴールドなんて見向きもしなかったような投資家やヘッジファンドが、ゴールドの方にお金を出し始めたっていうのが大きいよね。 石橋 :なるほど…。他にはどういう要素が相場に影響するんですか?

編集部 :完全に手のひら返したな。まあでも、そういう時は詳しい人に聞くのが良いと思う。聞きに行こう! *2018年1月16日時点での金額です。 金の専門家に話を聞きに行った Photo: ヨコヤマコム ということで今回金についてお話を聞きに行ったのは、ICBC standard bank 東京支店代表の 池水雄一(いけみず・ゆういち) さん。 金取引の第一人者として、一貫して貴金属ディーリングに従事されています。著書に、『金投資の新しい教科書』(日本経済新聞出版社)などがあります。 石橋 :こんにちは。今日は金についてお聞きしたくて来ました。ボーナスで金を買ったのですが、早くも売りたくなってしまって…。 編集部 :急に気が変わってしまったようなんです。 池水さん(以下、池水) :そうなんだ。何グラム買ったの? 石橋 :50グラムです! Photo: ヨコヤマコム 池水 :へ〜。でもその年齢にしては結構な買い物だね。 石橋 :そうなんですよ。だからこそ不安になってしまって。ぶっちゃけ金って、資産運用的にどうなんでしょう? 池水 :金は、資産運用の中の 保険 のようなものだと言えるね。 石橋 :保険ですか? 池水 :一般的な資産運用は、やはり株であったり預金であったりが王道。特に現金のような流動性が高くて、すぐに役立つものっていうのは大事だね。 だから、当たり前だけど資産を100%金で持っちゃうと、もうにっちもさっちもいかなくなるので、いろんな資産運用の中の一部として、金を持っておくというのはとてもいいことだと思います。 なぜ保険になるかといえば、金は他の貨幣や株式と比べて リスクの種類 がまったく違うから。いろんな資産を持っている中で、全然リスクが違うものを1つ持っておくことによって、全体のリスクを低減できる。それが金を持つ一番のメリットだね。 石橋 :なるほど…。 池水 :だから、新卒社員の人が金を買うなんて、すごく珍しいと思います。僕が新人のころ金を買ったかっていうと、まったく興味もなにもなかったね(笑)。そういう頭になれなかったな当時は。 石橋 :金のインゴットを一度手にしてみたくて…。 金相場が上下する要因は? 石橋 :金ってなんとなく、株とかに比べてあまり値動きしない印象があります。そういう意味でリスクが少ないような…? 池水 :金も相場だから、価値の上がり下がりはある。ただ、株などと違うのは、 ゼロにはならない こと。株は会社が倒産したりすれば、ゼロになり得るっていうのがあるから、そこはやっぱり大きな違いだね。 石橋 :金の価格って上がってるんですか?